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未熟児のIRDS,特発性呼吸障害症候群,肺硝子膜症には皆さんも大変苦い経験がたくさんおありのことと思います。Robert Usherがこれに対する輸液療法を開発し,その予後をいくらかはよくしたとはいえ,死亡率は依然として高いものとなっています。また,羊水中の肺表面活性物質surfactant lecithineを測定し,これが不足しているときはglucocorticoidを投与してから分娩させればいくらかはその発症を予防できるなど,近代産科学では種々の発展がありました。そして今日,もうひとつ新しい治療法が考案されたのです。それが,この表題に示すような持続陽圧酸素療法です。
この治療法は1971年にGregoryという人によって,はじめて未熟児のIRDSの症例に応用されました。持続陽圧酸素療法というのは英語ではcontinious positive airway Pressureといい,略してCPAP(シーパップ)と呼ばれています。また,時には,positive end-expiratory pressureといい,PEEP(ピープ)と略されています。つまり,どういうことかというと,air wayのようなものを入れて気道を確保し,陽圧で持続的にO2を送り込もうということです。そうすれば,第1の利点は,ただ保温器内でまん然とO2を投与しているような,O2の濃度が低くて有効さが得られるという一語につきると思います。すなわち,新生児では低濃度でのO2の投与によって,良好なoxygenation酸素化した空気を得られるということなのです。これは,不必要なO2を新生児に与えないですむために,未熟網膜症の発症も防止できるとともに,非常に効率よくO2を利用できるという利点があり,新しい治療法として注目をあびてきました。
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