Japanese
English
装置と方法
X線マイクロアナライザー法による開心術中心筋細胞内カルシウム測定
Intracellular calcium measurement using X-ray microprobe analysis
小池 龍
1
,
志熊 粛
1
,
木村 弘
1
,
佐藤 晴瑞
1
,
沢田 吉英
1
,
佐々木 進次郎
1
,
武内 敦郎
1
,
佐々木 貞雄
2
,
中垣 育子
2
Ryu Koike
1
,
Susurnu Shiguma
1
,
Hiroshi Kimura
1
,
Harumitsu Sato
1
,
Yoshihide Sawada
1
,
Sinjiro Sasaki
1
,
Atsuro Takeuchi
1
,
Sadao Sasaki
2
,
Ikuko Nakagaki
2
1大阪医科大学胸部外科
2大阪医科大学第一生理
1Department of Thoracic Surgery, Osaka Medical College
2The 1st Department of Physiology, Osaka Medical College
pp.1145-1150
発行日 1987年11月15日
Published Date 1987/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205145
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心筋虚血後の再灌流時にはカルシウムが細胞内へ流入し,これがいわゆる"reperfusion injury"の主役を演ずるといわれており,虚血に陥った心筋細胞の障害発生や収縮不全と,カルシウム動態との関係が注目されている1〜3)。したがって,今後細胞内のカルシウム濃度を正確に分析する方法を確立する必要性が,ますます切実となると考えられる。組織中のカルシウム定量法として一般には原子吸光分析法が用いられている。しかしこの方法では,試料中に血球細胞や細胞外液を混ずる場合が考えられ,また,細胞内のカルシウム貯蔵庫として指摘されているミトコンドリアや筋小胞体,細胞間質なども細胞質と一塊となって測定されるため真の細胞内カルシウムを表しているかどうかは疑問視されている4,5)。
X線マイクロアナライザー法は主として細胞生物学の分野で応用されているもので,走査電子像観察装置を組み込んだ透過型電子顕微鏡とエネルギー分散型X線検出器を組み合わせて細胞内小器官を観察しながら微小スポットをあてることにより,細胞を挫滅させずに構成成分別の元素の分析を可能にしたものである6〜9)。我々は,人為的心筋虚血状態である開心術中の心筋細胞内カルシウムを,このX線マイクロアナライザー法により測定しているので,我々の行っている方法を具体的に紹介し,その問題点などにつき考察を加え述べる。
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