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特集 カテコールアミン
高血圧における血小板内カテコールアミンの測定意義について
Platelet noradrenaline content in hypertension
上田 栄蔵
1
,
口井 正人
1
,
増山 善明
1
Eizo Ueda
1
,
Masato Kuchii
1
,
Yosiaki Masuyama
1
1和歌山県立医科大学循環器内科
1Division of Cardiology, Department of Medicine, Wakayama Medical College
pp.1137-1144
発行日 1987年11月15日
Published Date 1987/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205144
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高血圧の昇圧・維持に交感神経系の関与の大きいことは一般に認められている。しかし,これまでの成績は一定せず,高血圧における交感神経系の役割について明確な結論は得られていない。これは高血圧の病態に関与する因子は単一でなく,高血圧の病期病態により交感神経系の関与の程度が異なること,また臨床的に交感神経活性を正確に評価することが困難であることなどによるとされている。一般に交感神経活性の指標の一つとして血漿ノルアドレナリン(NA)の測定が行われているが,血漿中NAの消長はきわめて短く,採血条件により変動しやすいことから,安静時1回採血による血漿NA濃度による評価は必ずしも適切ではない。
従来より血小板には比較的大量のカテコールアミン(CA)が存在することが知られている。血小板内にはCA合成酵素が存在しないことから,血小板CAは血漿に由来するものであり,しかも一度摂取されたCAは比較的長時間遊離型のまま貯蔵されることが示されている。したがって血小板CA含量は交感神経活性の一指標として利用できる可能性があり,また発作型を含む褐色細胞腫の診断に応用できるものと考えられる。また血小板でのCA摂取・貯蔵・分泌様式が交感神経終末でのそれらと多くの類似点を有することから,交感神経終末モデルとしても検討されている。ここではまず血小板におけるCAの動態について述べ,交感神経活性の指標としての血小板NA含量の評価,本態性高血圧や褐色細胞腫における血小板CA測定の意義について考えてみたい。
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