Japanese
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Bedside Teaching
緑内障患者の狭心症に硝酸剤は禁忌か?
Is nitrates contraindication for the angina pectoris patients complicated with glaucoma?
藤江 幸子
1
,
広沢 弘七郎
1
Sachiko Fujie
1
,
Kohshichiro Hirosawa
1
1東京女子医科大学心研内科
1Department of Internal Medicine, Heart Institute of Japan, Tokyo Women's Medical Collage
pp.405-409
発行日 1987年4月15日
Published Date 1987/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205041
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狭心症の治療薬としての硝酸剤は,新しい薬ではなく,1867年Brutonが亜硝酸アミルの抗狭心症作用をみつけたことをはじめとし,1846年にSobreroによってNitroglycerin (NTG)が合成され,1879年Murrellは,狭心症発作の予防効果があることを報告し,その後1世紀にわたり使用されている。NTGの狭心症に対する劇的な効果は言うまでもなく,現在もなお広く使用されている。
狭心症患者のうち.特に高齢者では他疾患の合併も多くなり,緑内障合併も例外でない。硝酸剤の使用説明書には,緑内障患者は,禁忌とされている。反対に薬学の成書といわれている"Goodman,Gilman"には,「硝酸化合物が眼内圧を高め,緑内障を起こすと広く信じられているが,これには全く根拠がないらしい」1)という記載がある。臨床において緑内障を合併した狭心症患者に硝酸剤を投与することがあるが,緑内障発作を誘発したり,失明に陥ったという経験も,報告もない。今回この両者の矛盾を解決するため,主に文献的考察を中心に眼圧と硝酸剤の関係を検討してみる。
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