Japanese
English
解説
喘息発作時の心肺機能
Cardiopulmonary function in symptomatic asthma
富岡 眞一
1
,
黒岩 源
1
,
笛木 隆三
1
Shinichi Tomioka
1
,
Hajime Kuroiwa
1
,
Ryuzo Fueki
1
1群馬大学医学部第1内科
1First Department of Internal Medicine, School of Medicine, Gunma University
pp.1259-1265
発行日 1986年12月15日
Published Date 1986/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204969
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はじめに
気管支喘息はheterogeneousな性質を持った疾患である1)。主たる病態である気道狭窄は可逆的なものとされているが,一部の症例では不可逆的な部分を残すとみられている。気管支樹の中での狭窄部位についても規定はできない。この間,多くの研究がなされてきた気道過敏性についても副交感神経系の亢進,非アドレナジック抑制神経系の関与などいくつかの機序が想定されている。原因についてはアレルギー,感染,そして最近は運動誘発喘息やアスピリン喘息など非免疫学的なものが注目を集めてきた。薬剤に対する反応も個々の症例によって異なることは,日常の診療の中でも明らかなことである。気管支喘息が1つの疾患というより症候群として理解した方がよいと言われる所以であろう。
さて,このような気管支喘息のheterogeneousな性質を考えると,発作時の心肺機能も,個々の症例により詳細には異なる可能性がある。すなわち,その症例の臨床像,背景となる免疫異常,気道過敏性の機序の差異などにより,対応する呼吸機能障害も一様とは思われない。しかし現在のところ,一部を除いてその対応は明らかにされていない。本稿では主体となる換気力学的異常を中心に,気管支喘息の呼吸機能障害を包括的に述べざるを得ないことをお断りしておきたい。
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