今月の主題 内科医のための小児診療のコツ
救急外来における小児科診療
喘息発作
近藤 信哉
1
1浦和市立病院・小児科
pp.1334-1335
発行日 1986年8月10日
Published Date 1986/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220478
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喘息発作の重篤度の判定
個々の患児がこれまでにおこしてきた発作の程度とは無関係に,発作毎の重篤度が生命を左右する.問診では,患児がステロイド依存性であるか,最後に服用した気管支拡張剤の種類,量,服薬時刻などを手短に聞く.呼吸困難で苦しむ患児を前にして,診察も手短に行うが,喘息に特有の理学的所見は必ずしも発作の重篤度を反映しているわけではない.意識,チアノーゼ,脱水などの一般状態,聴診上の換気の程度の把握につとめる.可能であれば,ピークフローメーターによる気道閉塞の客観的評価や,血液テオフィリン濃度を測定しておく.患児が治療によってひとまず落ち着いたところで動脈血ガス分析を行い,総体的な肺機能の評価の参考とする.
来院時に重篤な臨床所見を示していても,治療に良く反応する例は必ずしも重篤な発作と考えなくてもよい.逆に,治療に抵抗したり,治療後短時間のうちに発作が再発してくる例は,臨床所見とは無関係に,重篤と考えられる.また,このような例においては,薬剤副作用の重なりによる増悪の可能性も考えておかなければならない.
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