Japanese
English
解説
肺のNMR CT
The NMR-CT of the lung
灰田 宗孝
1
,
塩谷 寿美恵
1
Munetaka Haida
1
,
Sumie Shioya
1
1東海大学医学部内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Tokai University
pp.777-782
発行日 1984年8月15日
Published Date 1984/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204489
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
NMR CTは近年急速に注目をあびている測定手段の1つである。従来のX線CTに比べその像が鮮明であること,殆んど無侵襲であること,パルス列の選択により,種々の物理量に依存した像を出すことができ,従って質的診断も可能であるのではないかと期待されるためである。NMR CTの応用は脳を中心とした中枢神経系への応用から出発した。それは動きの無い臓器であるからであり,またその必要性も高いためでもあった。しかし,その応用範囲は急速に他臓器へと拡大しつつあり,肺への応用も近い将来行われると思われるが,現時点では,肺野からの信号が弱いこと,緩和時間が短いこと,呼吸運動による動きが大きいことなどの理由で,その応用が一番遅れているようである。一方縦隔を含めた胸部への応用では,むしろX線CTよりもその縦隔内臓器の鑑別という点でNMR CTの方がすぐれており1),冠状断層,矢状断層が自由に行える点や,造影剤を使うことなく大血管を描出できる2)ことを考慮すると,NMR CTの有用性が一段と高くなると思われる。
現在のところ肺のNMRCT像で十分なものは得られないようであり,ここではまずNMR一般の原理について述べ,我々の行ったラット肺組織についての実験的研究の一部を紹介させていただくことで,肺のNMRCTの理解の一助としたい。
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.