Bedside Teaching
Round atelectasis
林 芳弘
1
,
太田 保世
1
Yoshihiro Hayashi
1
,
Yasuyo Ohta
1
1東海大学医学部第2内科
1The Second Department of Internal Medicine,School of Medicine, Tokai University
pp.143-148
発行日 1986年2月15日
Published Date 1986/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204817
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近年,肺癌の増加とも相まって.胸部X線写真読影,なかでも肺野の孤立性腫瘤影に対して,専門医ならずとも多大の関心を寄せるようになった。胸水貯留や胸膜肥厚に起因して形成されるround atelectasisは,良性の病態であるにもかかわらず,X線写真上,末梢肺野に腫瘤様陰影を形成するために肺癌を疑われ,しばしば不必要な開胸術等の外科的手技を加えられることがある。しかしながら,round atelectasisはX線写真上の特徴的所見から,その診断は決して困難なものではなく,一部の症例を除いては外科的手技を必要としない。また,外国の成書の中ではround atelectasisは一般に"非常に稀な病態"として理解されているようであるが1),本邦では最近諸家の症例報告に接する機会も少なくなく,その報告例も氷山の一角のようであり"非常に稀"と形容すべき病態ではないように思われる。今回は,round atelecta—sisの一症例を呈示するとともに,その成因,病態,診断,治療,予後などに関する知見を整理してみたい。
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