Japanese
English
綜説
呼吸管理と栄養
Respiratory care and nutrition
鶴谷 秀人
1
Hideto Tsurutani
1
1国立療養所南福岡病院臨床研究部
1National Minami-Fukuoka Hospital
pp.1180-1190
発行日 1985年10月15日
Published Date 1985/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204751
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はじめに
呼吸不全治療対策の基本は呼吸不全を多臓器障害multiorgan failureとして把えた全身管理である。これによって呼吸不全の急性発症の予防から,慢性呼吸不全の長期安定と延命をはかることができる1)。全身管理の1つとしての栄養の是正が注目されるようになったのは最近のことである2,3)。頭部外傷,骨折,火傷,敗血症など,また術後の重症患者に対する栄養補給に関する報告はかなりみられるが4〜6),内科的疾患では今までややおろそかにされていて食べられないために治癒が遷延し,十分な治療を行ない得ないで不幸な転機をとる患者を少なからず経験している。内科領域では機械呼吸を必要とする呼吸不全例に対して適切な栄養補給の重要性が取りあげられたのが端緒のようである7〜10)。
COPD患者とくに慢性肺気腫例にみられる"やせ"の傾向11)や,COPDの呼吸不全例においては勿論12),基礎疾患を問わずとも13,14),低アルブミン血症,体重減少など予後に影響するリスクファクターとして低栄養の重要性がわかってきた。栄養障害は呼吸不全が進行するにつれて著しくなって,呼吸不全の結果としてもみられるが,呼吸不全発症の成因あるいは急性増悪の原因ともなり得るものである15,16)。
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