Japanese
English
診療指針
喀痰溶解剤
Some Aspects of Mucolytic Agents.
長野 準
1
,
吉田 稔
1
,
広瀬 隆士
1
,
末次 勧
1
,
鶴谷 秀人
1
Hitoshi Nagano
1
,
Minoru Yoshida
1
,
Takashi Hirose
1
,
Susumu Suetsugu
1
,
Hideto Tsurutani
1
1九州大学医学部胸部疾患研究所
1Research Institute for the Chest Diseases, School of Medicine, Univ. of Kyushu.
pp.697-701
発行日 1965年9月15日
Published Date 1965/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201491
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はじめに
喀痰はほとんどの呼吸器疾患に必発の症状で,喀痰喀出のために咳嗽発作をおこし,ひいては呼吸困難等をおこすこともしばしばである。喀痰に関しては従来からの細菌学的,病理学的見地からの検討は多いが,最近の呼吸器病態生理学の進歩に伴う肺機能の立場よりこの気道内喀痰の蓄積についての関心が高まっている。即ち多くの慢性肺疾患の病理学的変化は肺機能面より見ると非可逆性障害因子であり,これに対して混合感染その他により気道内に停滞する分泌物は可逆性の閉塞因子に相当するものである。非可逆性因子の回復は困難であるとしても,可逆性因子の除去は治療により可能であり,それにより肺機能の改善は望み得ることになる。
またこの可逆性障害因子がそれ自体で肺機能を悪化せしめるばかりでなく,それが非可逆性障害因子である病理解剖学的変化の進行をも促進する場合が多く,肺胞換気の障害により動脈血中の酸素飽和度は低下し,炭酸ガス分圧上昇をきたし肺不全pulmonary insufficiencyをおこしくることを考えると,この喀痰除去による気道の確保が改めて呼吸器疾患治療の上で重要になってくる1)。
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