研究会抄録
第六回カテコールアミンと循環器系研究会
加納 達雄
1
,
西園 康文
1
,
西 勝英
1
1熊本大第二薬理
pp.593-598
発行日 1985年4月15日
Published Date 1985/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204663
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1.頻回刺激により誘発される遅延性後脱分極の解析
最近,不整脈の発生機序の一つとして,電気生理学的立場から,誘発活動が注目されている。この誘発活動の発生基盤である遅延性後脱分極(delayed afterdepolarization,DAD)を解析する目的で,家兎右室乳頭筋を用い,正常及び低pH条件下で,微小電極法により実験を行った。結果:①pH 7.4タイロード氏液中ではDADは観察されなかったが,pH 7.1ではDADが出現する場合もあった。②pH 7.1溶液中にノルエピネフリン3×10-6M投与するとDADの出現率が高くなり,又DADの振幅も大きくなった。③DADの振幅は刺激頻度と回数に依存性を示した。④DADの振幅は溶液のpHが低くなると抑制された。⑤DADの振幅は低酸素状態で抑制された。⑥DADの振幅はリドカインで抑制され,ベラパミルでは抑制されなかった。以上の結果は,虚血周辺部に於て,交感神経系の興奮により,DADを基盤とする誘発活動による不整脈の発生が惹起しうることを示唆するものである。
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