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2013年,敗血症のガイドラインSurviving Sepsis Campaign Guidelines(SSCG)が4年ぶりに改訂され,昇圧薬の推奨についてもいくぶん変更があった。しかし,敗血症に関しては,解明されていない点も依然多く,現在もさまざまな研究が行われ,新たな報告がされている。2009年4月に発行されたIntensivist創刊第2号であるSepsis特集の「sepsisにおける血圧のコントロール」で昇圧薬について詳述されている。本稿では,それ以降に2014年3月までに報告されたエビデンスをupdateしながら解説をする。
Summary
●SSCG2012では,MAP 65mmHgという数値が目標として設定されているが,死亡率などの重大なアウトカムが改善するという報告も存在せず,また腎機能保護を目的とする場合は十分ではない可能性がある。65mmHgという数値はあくまで基準であることを心にとどめておかなければならない。
●輸液による蘇生が最初の治療として推奨されており,昇圧薬による治療は適切な輸液負荷が行われたあとの治療として推奨されている。生命を脅かす低血圧の場合に,ノルアドレナリンにより血行動態を改善させることは可能だが,その後も輸液の代わりにノルアドレナリンを投与するべきかはいまだ定かではない。
●バソプレシンは,ノルアドレナリンへの反応が乏しい場合やノルアドレナリンを減量したい場合に考慮される昇圧薬である。しかし,バソプレシンに関する新たな研究が報告されるに従って,バソプレシンの重要性は変わっていくものと思われる。
●SSCG2012では,強心薬を用いて心係数を正常以上にすることに有益性はない,としているが,敗血症における強心薬の効果,副作用については現在も不明な点が多く,今後のさらなる研究が期待される。
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