Japanese
English
特集 循環をめぐる論争
PTCAはどこまで有効か
Effectiveness and limitation of PTCA
土師 一夫
1
Kazuo Haze
1
1国立循環器病センター内科心臓部門
1National Cardiovascular Center
pp.267-272
発行日 1985年3月15日
Published Date 1985/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204612
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バルーンカテーテルを用いて冠動脈の狭窄部を拡大する方法は,Gruentzigが動物実験や屍体冠動脈への試みを繰り返した後,1977年に狭心症例に初めて経皮的に施行して成功し,経皮的冠動脈拡大術(PTCA)として報告した1〜2)。以来,閉塞性冠動脈疾患の画期的な治療法として世界中に普及した。PTCAの普及率の目安として,米国立心肺血液研究所(NHLBI)のPTCA登録症例数をみると,1982年の発表では631例あったのが3),1984年には3,079例と著しい増加を示している4)。本邦でも単独の施設で250例以上のPTCAを施行したところがある5)。PTCAに関する学会報告や研究発表も増加の一途を辿っている。カテーテルシステムの改良や手技の向上,合併症の減少に伴い,当初のPTCAの適応基準は大幅に拡大されつつある。さらにPTCAは狭心症の治療を目的としたが,最近では心筋梗塞症(MI)急性期にこれを施行して,梗塞巣を縮小する試みにも用いられるようになり5〜8),PTCAの有用性は一段と高まっているといえる。しかしながらPTCAの不成功例やPTCAによる合併症のために緊急冠動脈バイパス術(CAB)を要する例,比較的短期間内に再狭窄を生じる例が少なくない。PTCA施行例の長期予後の検討も今後の課題である。本稿ではこれまでのPTCAの内外の成績を,主としてPTCAの成功率,合併症,遠隔期の再狭窄出現度の見地から述べ,PTCAの有効性と限界について言及してみたい。
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