Japanese
English
特集 冠動脈血行再建術に関するcontroversy
MIDCABはPTCA,CABGの適応を変えたか
Does MIDCAB Change Indication of PTCA or CABG?
岩瀬 孝
1
,
中西 成元
1
Takashi Iwase
1
,
Shigemoto Nakanishi
1
1虎の門病院循環器センター内科
1Division of Cardiovascular Center Toranomon Hospital
pp.961-966
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901771
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はじめに
虚血性心疾患に対する治療目的は,狭心症の消失と運動耐容能の改善,長期にわたる心事故発生率の減少と生命予後の向上にある.経皮的冠動脈形成術(PTCA)および冠動脈バイパス術(CABG)のいずれもが,虚血性心疾患に対する確立された治療方法とされており,PTCAとCABGのどちらの治療方法も選択可能である病変を対象とした場合には,再血行再建術施行率が前者で高い点を除き,短期および長期成績に差を認めないことが大規模試験により明らかにされている1〜3).
しかし,PTCAとCABGにはそれぞれ問題点があり,前者では急性冠閉塞と再狭窄4),後者では人工心肺に起因する急性期合併症と患者に及ぶ侵襲が大きい点5,6)や入院期間が長期になる点が挙げられる.臨床の現場では,病変枝数・病変形態や左心機能のほか,患者の全身状態や臓器合併症の程度を総合的に評価したうえで個々の症例に対する治療方針を決定している.
ところで,近年,上記の問題点を克服すべく,PTCAにおいては冠動脈内ステント留置術が,一方CABGでは人工心肺を用いない低侵襲冠動脈バイパス術(minimally invasive direct coro—nary artery bypass,以下MIDCAB)が積極的に施行されるようになっている.
本稿では,後者の普及により虚血性心疾患におけるPTCAとCABGの治療選択が変化したか否かについて自施設での経験を中心に考察する.
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