Japanese
English
Bedside Teaching
呼吸困難の定量的評価
Quantitive evaluation of dyspnea
吉野 克樹
1
Katsui Yoshino
1
1東京女子医科大学第一内科
1The First Dept. of Internal Medicine, Tokyo Women's College
pp.783-787
発行日 1984年8月15日
Published Date 1984/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204490
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呼吸困難は,健康時でもあるいは多種の疾患においても最も一般的に自覚される愁訴の1つである。感覚の表現としての呼吸困難の発生機序について種々の仮説が提唱されてきたが,いまだ不明な点が少なくなく,これを定量的に評価する方法は現在なお確立されていない現況にある。
最近金野は,呼吸困難を呼吸の自律性が破綻した時に働く種々の代償機能,load compensationの感覚的表現と提唱している(「Drive-load relation説」1,2))。即ち,生体は精密なservoloop (自律性機序)により,1日約2万回の呼吸運動を,刻々変化する環境に対応させながら全く意識することなく維持している。もしこの呼吸自律性が何らかの病因により破綻を来せば,生体は随意調節系(大脳皮質→皮質脊髄路→呼吸運動ニューロン→呼吸筋)の代償機能により呼吸を保持するようになる。この代償機能が働き始めた時,あるいは代償機能がある一定の限界となった時始めて感覚として大脳皮質の感覚野に呼吸を認知し,これがいわゆる呼吸困難感として意識されると推論している。以上の金野の説に従うと,呼吸困難の発現には呼吸の自律性破綻が必須条件となり,従って自律性破綻の定量的評価により呼吸困難を間接的にある程度評価可能となる。
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