今月の主題 画像診断
画像診断装置
NMR-CT
井上 多門
1
1東芝総合研究所
pp.256-259
発行日 1984年3月15日
Published Date 1984/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912137
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1.はじめに
夢の診断用映像法として期待されてきたNMR映像法もようやく実用化の時代に入り,わが国でも数台のNMR-CTが臨床実験に用いられる段階となった.NMR (核磁気共鳴)は第二次大戦の直後に,当時の電子工学技術の発展を背景として誕生した,物質のミクロな性質を知るために有効な物理化学的測定手段である.この現象の発見直後から,種々の医学方面への応用が試みられていたのであるが,実用的な医学診断において課せられる厳しい条件の下でこれが利用されるには,関連する多くの技術がシステム的に成立していなければならなかった.これらの技術の中で,特に情報処理技術の発展は重要な因子であり,この意味でX線CTは,NMR映像法誕生の直接の契機を与えるものであった.
1970年に入り間もなく,突如として世に現れたX線CTは,診断用映像装置として画期的な性能を示すものであった.しかし,決して万能なものではなく,例えば細胞レベルの生化学的状態に関する情報を抽出することなどには,まったく無力と言っても差し支えないほどであった.また,情報抽出の媒体となるX線自体の障害も問題であり,X線CTの持つこれらの弱点を解決する方法が望まれていたのである.
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