Japanese
English
特集 画像診断—最近の進歩
超音波による心臓組織診断
Tissue characterization of the heart by ultrasound
田中 元直
1
,
大川井 宏明
1
Motonao Tanaka
1
,
Hiroaki Ohkawai
1
1東北大学抗酸菌病研究所電子医学部門
1The Research Institute for Chest-diseases and Cancer, Tohoku University
pp.207-215
発行日 1984年3月15日
Published Date 1984/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204398
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疾患の診断にあたって,当該臓器の巨視的構造異常と共に微視的な組織学的異常を判定することは極めて重要なことであり,光学顕微鏡や電子顕微鏡による病理組織学的研究もその重要性から発展してきたものである。光顕法では組織化学的特異性と光の透過性とを利用して,光に対する組織の性質の違いをみているものであり,電顕法ではその分解能は極めて高いが,薄片化し真空状態にしなければならないなど原理的制約がある。生体組織では,組織構造が全く破壊されるような強度の変化から,充血ないし浮腫の如く構造破壊にまで至らない可逆的な変化まで色々である。しかも細胞は生きた細胞と死んだ細胞とでは異なり,生きていることによって絶えず変化する。従って光顕法などでは知り得ない情報も多く,また非破壊的,非観血的にこれらの組織変化を検出する方法も必要になる。
組織変化が生じたときには,組織の生化学的な組成の変化に付随して物性的な変化も生ずる1〜3)。例えば線維化し瘢痕化した組織は硬く,浮腫を生じた組織は軟かい。弾性波である超音波を用いた方法では,組織の構造変化あるいは組織化学的変化に随伴して生ずるこのような物理的性質の変化に着目し,物性変化を知ることによって組織の変化を知る方法であり,組織異常をこれ主での概念とは全く異なった方向と観点とから観察することになる。
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