技術講座 生理
心臓の超音波診断
別府 慎太郎
1
,
泉 司郎
1
1国立循環器病センター研究所
pp.993-999
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543202897
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従来,多くの心疾患の確定診断は心血管造影法や心臓カテーテル法など観血的な手法によってきた.しかし心エコー図法の発展により非侵襲的にその診断が可能となった.その理由は,心エコー図では心内構造物が陽画の形で直接描出されるという特徴による.心エコー図の表示方式としてMモード法と断層法があるが,現在検査の主体として断層法が盛んになっている.それは最近の技術発展により,リアルタイムに心臓の任意の断面が解剖に即して表示され,かつそれが動画として,すなわち拍動心の状況が観察されるからである.
一方Mモード法は任意のビーム方向内での心内構造物の動きを時間軸展開したもので,それのみでは心の解剖学的状況を把握しにくいが,各種内径,弁などの運動速度,時相分析などの計測に広く用いられている.いずれにしろ,心臓各部の状態を知るには,探触子の位置,方向を変え,広く検索する必要がある.それゆえ心エコー図検査に際し,心臓内各構造物の空間的位置関係を十分理解し,ビーム方向とその心エコー図との関係を認識しておくべきであろう.
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