技術解説
超音波による心臓断層法
田中 元直
1
1東北大抗酸菌病研究所内科ME研
pp.821-830
発行日 1974年8月15日
Published Date 1974/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908625
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
パルス状の超音波を生体に投射し,臓器や組織からの反射波(エコー)を捕え,これを映像化して診断しようとする方法(パルス反射法の応用)の試みは1950年ころ(第二次大戦以後)アメリカのFrenchとWildらおよび本邦の田中(順天堂大),菊池,和賀井らによって行われ,現在では臨床の広い範囲で応用されつつある.循環器領域における実用的な超音波の応用は1954年スウェーデンのEdlerとHertzとにより創始されたUCG法(ultrasound cardiography)がその始まりである.これに対しUCG法のごとく心臓構造に対する一次元的な表示法では十分診断情報が得がたいところから,心臓構造を二次元的断面として表示する方法が1964年筆者らによって開発され,超音波心臓断層法および断層キモグラム法として用いられるようになっている.心臓とそれに付属する大血管は中腔性の臓器であり,内容に液体である血液を満たしているため,解剖学的な構造上,超音波を適用するのには好都合な臓器である.
それのみでなく,心臓大血管の疾患診断に超音波を用いた場合には,他の検査法では得がたい,解剖学的構造,機械的な心血管動態,あるいは血流などに関する情報を全く非観血的に獲得できるという特徴を持っている.したがって,この領域における超音波応用は診断的応用の面では独特な展開と発展をしてきている.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.