巻頭言
自動化の限界
杉田 實
1
1兵庫医科大学第五内科
pp.105
発行日 1984年2月15日
Published Date 1984/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204380
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近年エレクトロニクスの医療への応用,とりわけ診断技術領域への進出は著しい。臨床検査の中央化の必要性に応えて,大学病院などに中央検査部が設置されたのは昭和30年頃であろうか。それでも当時内科学教室などでは,尿,屎,血液の一般検査や特殊検査(当時としては)を,外来検査室や研究室の片隅で,入局したての医師が検査法提要を紐解きながら長時間かかって測定していたのを想い出す。
その頃すでにアメリカでは,Skeggs博士が日常臨床化学検査の精度の向上を目指し,流れシステムによる連続測定の開発に努力していた。昭和30年テクニコン社によって実用化されたオートアナライザーが誕生するや,次々に改良されながら,欧米はもとより日本で急速に普及するに至った。以来現在に至る迄のほぼ30年間に,臨床化学部門における自動化は当初の目的であった精度管理はもとより,省力化,能率化あるいは迅速化をもたらした。さらに最近では自動化の実用化は生化学検査にとどまらず,血球計算にまで及んでいる。
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