呼と循ゼミナール
急性呼吸不全の治療(1)—気道確保
天羽 敬祐
1
1東北大学麻酔科
pp.1286
発行日 1983年12月15日
Published Date 1983/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204353
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急性呼吸不全(ARF)患者に対する気道確保の一般的な適応は,およそ次の4項目に要約されよう。①気道閉塞の改善ないし予防,②気道内への異物(血液,胃液,吐物など)の流入防止,③気道内分泌物の吸引排除,④人工呼吸の前処置,である。
ARF患者では通常,数日から数週間におよぶ長期間の気道確保が必要となる。そのための手段として気管内挿管と気管切開の2つがあるが,現在もっとも一般に普及しているのは経鼻的気管内挿管法である。経鼻挿管は前述の4つの項目をほぼ完全に満足させるし,気管切開のような手術は不要で,操作は簡単,しかも慣れた人が行えば数10秒でできる迅速さがある。ただし気管内挿管(とくに経鼻挿管の場合)には,その操作に多少の熟練を要するし,前述③の項目に関しては,気管切開のほうがやりやすい。
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