特集 カテコールアミン
交感神経系と冠動脈結紮後の心筋ホスホリラーゼ活性上昇
酒井 兼司
1
,
安孫子 保
1
1旭川医科大学薬理学
pp.1155-1158
発行日 1983年11月15日
Published Date 1983/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204326
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冠動脈を結紮すると1.5分以内に虚血になった部位の心筋のホスホリラーゼ活性の上昇,グリコーゲン含量の減少および解糖系代謝中間体の蓄積などがおこる1,2)。虚血心筋におけるこれらの代謝変化は,冠動脈結紮によって心筋内に遊離されたカテコールアミンによって起こされると一般に信じられている3,4,5)。その根拠の一つとして,虚血による心筋の代謝変化はβ遮断薬のプロプラノロールによって抑制されるという事実がある6)。この事実は虚血によって心筋内に遊離されたカテコールアミンがβ受容体を介して代謝変化をおこしている可能性を示唆する。我々は以前に冠動脈結紮直後より非虚血部心筋でノルエピネフリン含量がすみやかに減少することを報告した7)。これは非虚血部心筋においても冠動脈結紮によってノルエビネフリンが遊離する可能性を示している。しかし,冠動脈結紮後にノルエビネフリンが遊離する神経性経路についてはよく判っていない。本研究は冠動脈結紮によるノルエピネフリン遊離に関する神経性経路を解明するために行った。
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