特集 カテコールアミン
ヒト心臓神経の微細形態
山内 昭雄
1
1東京大学医学部解剖学教室
pp.1151-1154
発行日 1983年11月15日
Published Date 1983/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204325
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遠心性および求心性の神経軸索が心臓内に濃密に分布し,かつ神経細胞体の集団が大血管と心臓との境界部を中心に存在して心臓神経節をなすのは脊椎動物界における普遍的現象であると考えられる。心臓内の神経要素を電子顕微鏡下でとらえ,その微細構造を研究する試みはすでに数多くなされているのではあるが,動物の心臓を対象とする場合が大部分であってヒトについての所見は今なお甚だ断片的であるにすぎない。電子顕微鏡用の試料とするに適した,十分な鮮度の心臓組織を人体より採取するのがきわめて困難であることがこのような状況を招いている根本的理由であることは明らかであるが,副次的にはヒトの心臓全体が電子顕微鏡的観察の対象物としてはあまりに大きすぎる(電子顕微鏡用切片の大きさは約2mm四方が最大限である)点も見逃せない。
著者は今までに1)ヒトの胚子または胎児の心臓,2)外科的心臓手術時に切除されるヒト心臓組織片,3)死後時間の比較的短い法医学的または病理学的剖検例からの刺激伝導系組織,を利用する試みを行った。結果のあらましを以下で述べさせていただくこととする。
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