カラーグラフ 冠動脈造影所見と組織像の対比・15
心筋梗塞後の冠動脈血栓の変化
堀江 俊伸
1
1東京女子医科大学・循環器内科
pp.864-866
発行日 1990年5月10日
Published Date 1990/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900222
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●心筋梗塞発症5力月後に冠動脈造影を施行した例
症例 54歳,男
現病歴 46歳の時に下壁梗塞発症.51歳の頃,出張中に胸痛発作があり,前壁中隔梗塞の診断により近くの病院へ入院.退院後,冠動脈造影を目的として梗塞5カ月後に当院へ入院した.冠動脈造影では前下行枝(Seg 7)は完全閉塞を示したが(図1A),前下行枝の末梢部は回旋枝から逆行性に造影された.退院後,比較的経過良好であったが,3年後に3回目の梗塞発作により死亡した.
冠動脈造影上,完全閉塞を示した部位は血栓形成によると考えられたが,剖検による検討ではすでに梗塞発症3年を経過しているために,血栓は器質化され,小さな新生血管が多数認められた.以上のことから,冠動脈病変は梗塞後の経過とともに変化していることが分かる.
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