巻頭言
心臓とentropy
田村 康二
1
1山梨医科大学第2内科
pp.577
発行日 1983年6月15日
Published Date 1983/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204235
- 有料閲覧
- 文献概要
心機能を評価するには,MechanicsとEnergeticsの両方を検討する必要があると考えている。ポンプ機構としての検討は,最近のポンプの壁運動の評価と合わせて,次第に解明されてきている。しかしながら,例えば左室駆出率の50%というのは何であるかということを考えてみると,単に1/2駆出する働きを心臓がもっているということだけでは,臨床上どうしても患者全体の印象とは異なった評価がなされることになる。つまり,50%駆出してもその駆出の仕方の効率というものがあるわけである。このポンプ機能の評価に当たっては,たまたま熱希釈法による心機能評価の方法論の揺籃時にその研究グループに巻き込まれていたことから,今日に至るまでこの方法によってポンプ機能評価するという研究を続けてきている。ところで,この熱希釈法とは,熱を指示薬とする方法である。すなわち,生体内での温度の差を検出することによって心血行動態の計測をしようとする方法なのである。この時に行なった1つの方法は,単一血管内の血流量を熱希釈法で量る持続的局所熱希釈法の開発である。この方法を用いて,冠静脈洞血流量を測定する場合に困った問題は,右房から冠静脈洞に血液が逆流するので,本当の冠静脈洞血流量だけを量るにはどうしたらよいかという問題であった。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.