Japanese
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綜説
急性心筋硬塞症に対するニトログリセリン,降圧剤の適応
Application of vasodilators for acute myocardial infarction
田村 康二
1
Koji Tamura
1
1新潟大学医学部第1内科
11st Dept. of Int. Med., Niigata Univ. Scholl of Med.
pp.755-763
発行日 1976年9月15日
Published Date 1976/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202948
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急性心筋硬塞症により生ずる心不全の発生機序は他の心臓病によって生ずる心不全とは異なる。即ち心筋の酸素の要求に応ずるだけの酸素供給をする冠血流が急激に阻止されたという病態変化で生ずる訳である。従って心筋酸素消素消費の決定因子の是正が治療の主眼となる。これらの因子は,(1)心拍数,(2)前負荷,(3)心収縮力および(4)後負荷である。それ故にこれまでは主として,(1)心拍数の是正には薬剤および人工ペースメーカー,(2)前負荷の是正には利尿剤,水および電解質の調節,(3)心収縮力の増強には(Digitalis), dopamine, glucagon等が試みられてきた1)。しかし利尿剤は肺充血には有効でも左心機能自体を改善しないし2),Digitalisも心筋硬塞の初期には心筋虚血を強めてしまうとも報告されている3)。そこでこれまで検討されなかった(4)の後負荷の調節,即ち末梢血管拡張剤の効果が検討されるようになった4)5)6)。
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