Japanese
English
Bedside Teaching
呼吸不全患者の循環管理—(I)急性期
Cardiovascular management in patients with respiratory failure :(I) acute stage
藤田 一誠
1
,
田中 信之
1
,
沢田 雅光
1
,
坂口 和成
1
,
荒木 良彦
1
Kazushige Fujita
1
,
Nobuyuki Tanaka
1
,
Masateru Sawada
1
,
Kazushige Sakaguchi
1
,
Yoshihiko Araki
1
1大阪府立羽曳野病院第3内科
1The Third Department of Internal Medicine, Osaka Prefectural Habikino Hospital
pp.157-163
発行日 1983年2月15日
Published Date 1983/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204175
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呼吸不全患者治療の究極的な目標は生体の代謝の場である組織の酸素化(tissue oxygenation)を確保維持することにある。組織へのO2運搬能は血液O2含量(CaO2)と心拍出量(Cardiac Output,以下CO)との積で表現されるが,この機能を遂行するために肺はガス交換を円滑に行いCaO2を維持するとともに心はポンプ機能によりCOを維持することが要求される。すなわち肺と心(呼吸と循環)は生命維持の上できわめて密接な関係を有するものであり,呼吸不全患者治療における循環管理は非常に重要な位置を占める。従来,急性呼吸不全患者の多く,とくにARDS症例はvenous admixtureを伴う高度な低酸素血症によって死亡することが多かったが,近年のIRCUの普及や高性能ベンチレーターの開発,PEEPに代表される呼吸管理技術の進歩等により,低拍出症候群(Low cardiac output syndrome),腎不全,DIC等の呼吸不全以外の要因によって死亡するものが多くなってきた1,2)。なかでも低拍出症候群の頻度は高くこれによるtissue hypoxiaが呼吸不全患者の予後を左右する重要な要因となっているのでその病態の理解と対策の確立は呼吸不全患者の管理上必須の課題である。そこで本稿では主として急性呼吸不全時の循環管理の要点をのべ参考に資したい。
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