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心電図上ST上昇を認める異型狭心症(variant angina)がPrinzmetalら1,2)により初めて報告されて以来,その成因として冠攣縮が重要な役割を演じることが指摘されてきた。特に,血小板や血管壁由来の血管作動性プロスタノイドに関する研究の進歩はめざましく,その代謝の不均衡が冠動脈スパズムを惹起しうること3〜6),また臨床的にも異型狭心症例において血清中の血管収縮性プロスタノイドが増加し血管弛緩性プロスタノイドが低下していることが明らかにされてきた7)。そこで,内因性血管弛緩性プロスタノイドの低下を補う意味で冠攣縮性狭心症例に対する血管弛緩性プロスタノイド(プロスタグランディンI2,以下PGI2)の投与が抗スパズム作用を及ぼすか否かを検討することは重要である。今回われわれは,2例のvasospastic anginaで心臓カテーテル検査中,ergonovine maleateにより誘発された冠スパズムに対し,PGI2を冠動脈内に選択的に注入することによりスパズムの解除を観察したので,その機序について若干の考察を加え報告する。
To examine the possible effect of exogenous Prostaglandin I2 on coronary artery spasm, we attempted the intracoronary administration of PGI2 during vasospastic attack. In a case with variant angina which exhibited the normal coronary arteriogram during non-anginal period, a total vasospastic obstruction of right coronary artery was disclosed during angina attack in-duced by ergonovine.
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