呼と循ゼミナール
新しいプロスタグランディン—その肺における作用について
広瀬 隆士
1
1九州大学医学部附属胸部疾患研究施設
pp.1220
発行日 1981年11月15日
Published Date 1981/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203880
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(1)内因性PGの作用
肺における内因性PGの作用は前駆物質であるアラキドン酸(AA)を投与して,その効果をみればわかる。AAを動物に投与すると気道ならびに肺血管が攣縮する。一方あらかじめPG生合成阻害剤を投与しておくと,これらの反応が抑制される。つまり投与したAAがPGに変換されて作用したことになる。次に変換されたPGがどの系のPGかが問題となるが,我々は灌流肺を用いてAAがトロンボキサンA2(TXA2)に変換されること,ならびにこれが肺血管および気道を攣縮することを明らかにした。なお先にのべたごとくAA投与後にはPGI2がTXA2とともに放出されるため,観察された肺血管および気道の攣縮の大きさは当然これによって修飾されることになる。もちろんAAの作用を検討する場合,その投与法の違いや,実験条件の差によってAAの代謝様式が変化する可能性を考えねばならない。
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