呼と循ゼミナール
新しいプロスタグランディン—その肺からの放出について
広瀬 隆士
1
1九州大学医学部胸部疾患研究施設
pp.1048
発行日 1981年10月15日
Published Date 1981/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203856
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PGが刺激のごとに各組織で新たに生合成されては放出されることについてはすでにのべた。PGは肺を単に過伸展したり,過換気するような物理的刺激によっても放出される。またアレルギーや,炎症のさいの多くのchemical mediatorによっても肺から放出される。このような物理的ならびに化学的刺激による放出のひきがねとなるのは先にのべたごとくphospholipase A2の活性化である。
1) Cyclooxygenase系のPGの放出 血管内皮細胞は血小板からPGG2,H2の供給をうけてPGI2を生成するほか,細胞自身のPG endoperox—idesからもPGI2を生合成する機能をもっている。とくに肺血管床におけるPGI2の生合成は活発であり,PGI2が肺で不活性化されないこともあって生理的条件下で絶えず動脈血中に放出される。このため動脈血中のPGI2は静脈血中のそれよりもたかい。一方,PGI2とは逆の作用をもつTXA2は血小板のほか肺からも放出される。Bootらの報告をみるとモルモットの摘出灌流肺にアラキドン酸を注入するとそのほぼ50%がPGI2となる一方,ほぼ40%がTXA2に変換される。また感作モルモット肺の坑原刺激時にも灌流液中にPGI2とともに,TXA2が放出される。
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