今月の主題 下痢と腸疾患
下痢の病態生理
プロスタグランディン
兼子 俊男
1
,
大久保 正士
1
1山口大学医学部・第3内科
pp.1366-1367
発行日 1984年8月10日
Published Date 1984/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219161
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プロスタグランディン(PG)は消化管において,胃酸分泌抑制作用1)を有することが当初発見され,その後PGのcytoprotection作用が注目されて,胃腸粘膜の防御機構におよぼす影響と抗潰瘍性について研究されてきた.PGはすでに分娩誘発,陣痛促進など産科領域や開腹手術後の腸管麻痺に対して臨床的に応用されている.しかしPGの投与により副作用として,下痢,腹痛,嘔吐などの消化器症状が出現することはよく知られており.これはPGが胃・腸管運動亢進をきたすことに基づくと考えられている.PGに関する最近の研究は,PGが腸管運動に影響を及ぼすのみならず,腸管の水・電解度の吸収・分泌や,下痢の病態生理などに重要なかかわりを持つことを次第に明らかにしてきた.本稿ではPGの腸管への作用および下痢との関係について概説する.
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