研究
術後Anoxiaと肺間質浮腫—循環—間質間の水分,蛋白粒子移動のdynamicな測定
中島 進
1
,
久保 良彦
1
,
竹内 克彦
1
,
平田 哲
1
,
熱田 友義
1
,
鮫島 夏樹
1
,
垣内 美弘
2
Susumu Nakajima
1
,
Yoshihiko Kubo
1
,
Katsuhiko Takeuchi
1
,
Akira Hirata
1
,
Tomoyoshi Atsuta
1
,
Natsuki Samejima
1
,
Yoshihiro Kakiuchi
2
1旭川医科大学第1外科
2北海道大学応用電気研究所生理
11st Dept. of Surgery, Asahikawa Medical College
2Institute of Applied Electricity, Hokkaido Univ.
pp.1065-1072
発行日 1981年10月15日
Published Date 1981/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203859
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近年,shock,感染,外傷などに起因するadult respi—ratory distress syndromeと肺間質浮腫との関連が注目され,毛細血管内外の水の移動についての臨床的観察が重要となってきている。また呼吸不全のみならず,心筋硬塞後の死亡率と膠質—左房圧格差が密接な関連を有することが報告され,間質浮腫の解明は重症患者の救命率をあげる上で緊急の課題となってきている。毛細血管内外の水の移動に関するStarlingの法則のうちで毛細血管圧の影響に関する臨床報告や実験報告は多数みられているが,膠質浸透圧(COP)の測定は旧来まで臨床使用に耐えうる簡便な装置がなかったために日常的には行なわれなかった。北大応電研垣内が開発した針型膠質浸透圧計はspot samplingの測定が簡便であり必要な血液量も0.2mlと少なく,しかも全血中の膠質浸透圧を連続的に測定できるという画期的なものである。我々は,swanganz catheterを用いた開胸術前後の肺内gas交換循環動態の検討および膠質浸透圧の測定を通じて術後ARDSの発生に細胞膜透過性の異常と膠質浸透圧の低下が重要な役割を演じている疑いをもち,動物実験で検討を加え,臨床経験を裏付けうる結果を得たので報告する。
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