Japanese
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Bedside Teaching
高血圧性心疾患
Hypertensive Heart Disease
青崎 正彦
1
Masahiko Aosaki
1
1東京女子医科大学付属日本心臓血圧研究所内科
1Division of Internal Medicine, The Heart Institute Japan, Tokyo Women's Medical College
pp.1055-1064
発行日 1981年10月15日
Published Date 1981/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203858
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I.概念 高血圧性心疾患hypertensive heart diseaseとは,高血圧にみられる心疾患で,高血圧の持続がその病態の成立に重要な役割を果しているものと考えられている。高血圧により心疾患が生じうる根拠としては,(1)心疾患患者では高血圧の認められる頻度が高いこと,一方,(2)高血圧症では最終的には心疾患,ことにうっ血性心不全を発症する例が多いこと,(3)高血圧は左室に対し圧負荷による仕事量の増加と壁張力を増加させる結果,心機能を障害すること,さらに,(4)高血圧は冠状動脈硬化を促進することなどが挙げられている1〜3)。心臓は高血圧による圧負荷により,初期には左室の求心性肥大concentric hypertrophy,続いて拡張性肥大dilated hypertrophyを生じ,うっ血性心不全を発症するに至る。また,高血圧は,ことに高脂血症の存在下で冠状動脈硬化を促進し,狭心症,心筋梗塞などの虚血性心疾患を併発することが多い4)。左室肥大は高血圧の圧負荷により,冠状動脈硬化を伴わない場合にも生じうる5)。うっ血性心不全の発症例では,同時に冠状動脈硬化の存在することが多く,また,高血圧による腎障害(腎硬化症)の関与していることが少なくない1,2)。高血圧性心疾患には,冠状動脈硬化による虚血性の変化をも含めて考えられているが,狭心症,心筋梗塞を生じた場合には,一般に虚血性心疾患として,別の疾患単位に区別されている。
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