特集 肺末梢領域の病像と病態
特集に当って
横山 哲朗
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
pp.449
発行日 1981年5月15日
Published Date 1981/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203761
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肺の形態と機能,あるいはその病像と病態の相関を追及することは永年にわたる呼吸器病学における強い願望であった。しかし肺の全体overallとしての機能評価をすすめる限りにおいてこの願望が実現する可能性がきわめて乏しいことも次第に明白となってきた。最近肺の機能の不均等分布の評価および肺の末梢領域における機能障害評価の手法が開発され,一方では患者病肺における局所病変の形態変化の把握が可能になるにつれて臨床の場において,この永年の命題を検討しうる可能性ができた。一方今日ほど肺の末梢領域の病変に由来する呼吸器疾患の臨床的重要性に関心が寄せられていた時期もこれまでの呼吸器病学の歴史になかった。
この問題に関する新らしい方法論・診断論理の開拓がようやく軌道に乗り,わが国においても,この方面の臨床研究に力を注ぐ研究者が次第に多くなりつつある。このときにあたってmorphometryの世界的第一人者であるスイス・ベルン大学解剖学教室のWeibel教授を迎えて同学の士が集まってシンポジアムを開くことができたことは,呼吸器病学の今後の飛躍的発展のためにまことに意義深いことであったと思う。
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