視座
日本靴医学研究会の発足に当って
鈴木 良平
1
1長崎大学整形外科
pp.1231
発行日 1987年11月25日
Published Date 1987/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907718
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私は長年,足と歩行の問題に取組んできたが,歩行の道具である履物についての研究の必要性を痛感している.わが国の整形外科医は,矯正靴や足挿板については古くからかかわってきたが,履物によって足がどのような影響を受けるか,足の健康を守るにはどのような履物がよいかといったような研究は,今まで余り見当らなかった.
ヒトが直立2足歩行をするようになり,この不安定なロコモーションに適応して,足はすばらしい発達を遂げた.しかし人間はいつの頃からか,外界の有害な刺戟から足を守るために,履物を使用するようになった.つまり履物は歩くための補助具となったのである.文明の発展と共に,いつしか履物は権威の象徴となり,あるいはおしゃれの道具となり,足の健康を害してまでも,極端な履物を使用するようになった.このもっともよい例が,女性のハイヒール靴である.
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