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心筋硬塞は成人病の中で最も重要な疾患の1つであり,一搬には40歳以上の高齢者に好発し,動脈硬化による冠動脈の閉塞を病因とするものが圧倒的に多い。しかし,近年比較的若年者の心筋硬塞の報告もみられ,また著者らは若年にもかかわらず冠動脈造影により強い冠動脈硬化を認めた症例も経験している。逆に臨床的には明らかな心筋硬塞でありながら,冠動脈造影にて有意の狭窄のない症例の報告もみられており,その病因については必ずしも明確でない。
今回,著者らは心内膜床欠損症(以下ECD)を伴った17歳のダウン症候群の女性に心筋硬塞を合併し,剖検の結果,冠動脈に有意の狭窄性変化を認めない症例を経験した。先天性心疾患に心筋硬塞を合併することは珍しく,文献的にも報告は少い1,2)。更にこの症例は正常冠動脈であった事もきわめて興味深い。この病因について,若干の文献的考察を加え検討したので報告する。
Congenital heart diseases complicated with myocardial infarction are very rare.
Recently we encountered a case which is complicated with typical myocardial infarction clinically and which shows no significant stenotic changes in the coronary artery on autopsy in a 17 year old woman with Down syndrome ac-companied by endocardial cushion defect.
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