呼と循ゼミナール
連合弁逸脱症の診断
小川 聡
1
1慶応義塾大学医学部内科
pp.160-161
発行日 1980年2月15日
Published Date 1980/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203519
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僧帽弁逸脱症患者に三尖弁逸脱症が高率に合併することが示されている1〜3)。Chandraratnaらの報告した12例の三尖弁逸脱症では,8例が僧帽弁逸脱症も有していた3)。心エコー図所見としては,僧帽弁と同様の収縮末期の後方運動,あるいは全収縮期にわたる所謂"ham—mocking"がみられるとされている3)。しかし心エコー法による三尖弁の描出は,著しい右室腔の拡大のない症例では比較的困難であり4),三尖弁逸脱症の診断は必ずしも容易でない。一方,超音波心臓断層法では,右室,右房をその長軸に沿った断面で観察できることから5),三尖弁動態の評価にもきわめて有用である。
図1の記録はMarfan症候群の臨床所見をそなえた16歳の少年から得られたもので,上段の心エコー図では,大動脈腔が著明に拡大し(5.8cm),大動脈弁の開放時の振幅が増大している(左端)他,中央の図では,僧帽弁に典型的な収縮末期の後方運動がみられ(矢印),僧帽弁逸脱症の診断は容易である。
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