今月の主題 循環器疾患の画像診断
各論
僧帽弁逸脱
吉田 清
1
1神戸市立中央市民病院・循環器センター内科
pp.1038-1045
発行日 1987年6月10日
Published Date 1987/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220989
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僧帽弁逸脱とは,僧帽弁が収縮期に左房側に膨隆,翻転する状態を指す.したがって,その病態はさまざまであり,基礎疾患に付随した僧帽弁逸脱もあるが,多くは他に認むべき疾患の無いもの(特発性)である.僧帽弁逸脱はmitral complexのどのレベルの異常によっても起こりうる.すなわち,弁尖自体の異常のみならず,腱索の延長・断裂や乳頭筋の異常などでも起こりうる.
僧帽弁逸脱という概念の発展は,心エコー図とともに歩んできたといっても過言ではない.それは,心エコー図とくに断層心エコー図によれば,僧帽弁の形態的異常を直接的に詳細に観察しうるからである.さらに最近では,超音波ドプラ法により,僧帽弁逸脱に伴う僧帽弁逆流jetを明瞭にとらえることが可能となっている.
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