呼と循ゼミナール
末梢気道部の形態と機能(3)
川根 博司
1
,
西田 修実
1
1広島大学第2内科
pp.134
発行日 1980年2月15日
Published Date 1980/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203513
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1964年にGrossらは植物性蛋白分解酵素であるパパインをラットの気管内に注入して,病理学的に,炎症所見を伴わない肺胞壁の破壊を認めた。その後,ハムスター,ウサギ,イヌにおいても,パパインあるいは膵臓,多核白血球,肺胞マクロファージなどから抽出されたエラスターゼの気管内注入ないしエロゾル吸入により,実験肺気腫の作成が報告されている。蛋白分解酵素による実験肺気腫の作成は,Erikssonらのα1—antitrypsin欠乏症と肺気腫との関連性の発見とともにヒトの慢性肺気腫の発生機序の解明に大きな手がかりを与えた。
一方,この動物モデルを使って,肺気腫における病理形態像と肺機能の相互関係をある程度定量的に把握することが可能であろう。またその経過を追求することにより,肺気腫の進展程度と肺生理学的変化との関係も明らかになるかもしれない。
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