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特集 呼吸生理の諸問題
血液,脳細胞外液および脳細胞内液相互間におけるAnionの交換と,それに由来する酸塩基平衡と呼吸調節の動態
Review Lecture: Anion exchange between blood, extracellular fluid of the brain and brain cells and its consequences for the respiratory control of acid-base balance
H. H. Loeschcke
1
,
H. R. Ahmad
1
,
本田 良行
1Institute of Physiology, Ruhr University Bochum
pp.29-33
発行日 1980年1月15日
Published Date 1980/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203496
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I.呼吸性と代謝性酸塩基平衡障害における脳細胞外液の酸塩基平衡動態と呼吸
代謝性酸塩基平衡障害のときにおける脳細胞外液のpHは,正常値の7.32〜7.34からほとんど変化しないとされている。普通,脳脊髄液(CSF)のpHは脳細胞外液(ECF)のpHと同じとして取扱われるが,代謝性アシドージスのとき,このCSF pHは軽度に酸性剤(Pappenheimer),ごく軽度に酸性またはアルカリ性のいずれかに(LoeschckeとSugioka),僅かにアルカリ側に(最初Robinらが1958年,更に最近IrsiglarらとBorisonらが1979年に報告)と色々な報告がある。一方,呼吸性アシドージスのときは,CSF pHははっきりと酸性側に傾く。この際,換気の増加は非常に著明である。これに反し,代謝性アシドージスのときは比較的軽度の換気亢進が認められるにすぎない。
このように,呼吸性と代謝性のアシドージスで,呼吸亢進の程度が異なることは,長い間呼吸生理学でのなぞとされてきた。
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