呼と循ゼミナール
Cross-sectionalエコーによる左心室瘤の診断
小川 聰
1
1慶応義塾大学内科
pp.658-659
発行日 1979年6月15日
Published Date 1979/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203387
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M—モードエコーで記録される局所的収締異常は虚血性心疾患の特徴である。Jacobら1)は,左心室造影上asynergyを認めた症例の75%で心室中隔あるいは左室後壁に異常運動を見出しており,またCoryaら2)は急性心筋梗塞で入院した症例を検討し,心電図から判断された梗塞部位に一致した局所的収縮異常を84%に見出している。前壁梗塞では心室中隔あるいは左室前壁エコー3)に,そして下壁梗塞では左室後壁エコーに収縮期運動の振幅低下,あるいは反対方向への運動が観察される。このような所見に加えて,収縮期に正常見られる左室壁壁厚の増加が,虚血性心疾患では低下あるいは欠如することも指摘されており4),特に,急性期心筋梗塞例で収縮期に壁の菲薄化をみる例もある4)。しかし一方では重症の冠動脈病変,心筋梗塞を有する症例で全く正常の左室が記録されることも稀でなく,単一の探触子で得られるMモードエコーの診断能力の限界が感じられる。
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