臨時増刊特集 診断基準とその使い方
I.循環器疾患
乳頭筋機能不全症候群
吉川 純一
1,2
1神戸中央市民病院循環器センター
2神戸中央市民病院内科
pp.1668-1671
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207478
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はじめに
僧帽弁は弁尖,弁輪,腱索,乳頭筋から構成される僧帽弁複合(mitral complex1))の解剖学的かっ機械的な統一性が保持されて,はじあてその機能が維持される.さらに乳頭筋と心室自由壁との協調性も僧帽弁機能の維持に重要である、乳頭筋には前乳頭筋(anterolateral papillary muscle)と後乳頭筋(posteromedial papillary muscle)があり,それぞれ前尖と後尖の両者に腱索を送っている.前乳頭筋は左冠動脈回旋枝の鈍縁枝から,時には鈍縁枝と前下行枝の両者から血液の供給をうける.後乳頭筋は回旋枝の支流または右冠動脈後下行枝から血液供給をうける(図1).
1963年,Burchらは,乳頭筋の虚血により発生する僧帽弁閉鎖不全に乳頭筋機能不全症候群(syndrome of papillary muscle dysfunction)なる名称を与えた2,3).その後,彼らはその概念を大幅に拡大して,種々の病態生理学的異常による乳頭筋機能不全を本症候群とした4).以下,本症候群の診断とその問題点について概説する.
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