呼と循ゼミナール
Cross-sectionalエコーによる乳頭筋機能不全症の診断(II)
小川 聡
1
1慶応義塾大学内科
pp.854-855
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203412
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左室下壁梗塞症例でCross-sectional echocardio—graphy (CSエコー)により左室下後壁のakinesis,乳頭筋の線維化,収縮性低下を証明し,乳頭筋機能不全症を診断しえた例を前回提示した1)。今回はBurch 2)の言う第2の機序,すなわち左室拡大に伴い乳頭筋の収縮が僧帽弁に対して過剰の,あるいは異常方向の張力を加える結果生ずる僧帽弁閉鎖不全症例である。
51歳の男性で数年来,うっ血型心筋症として治療を受けている。心尖部に聴取されるLevine II度のsoftな全収縮期雑音は左腋窩部へ放散する。図1に示したMモードエコーは,いわゆる"Condensed scan"3)と呼ばれる低速度(10mm/秒)での記録である。図左端で大動脈(AO),左房(LA)のみえる位置から開始し,探触子を連続的に僧帽弁→左室へと向け(図中央),再び大動脈へ戻して記録したものである。左房径は4.2cmと軽度に拡大し,左室径(LV)は腱索エコー(ch)の見える位置で9cmと著明に拡大し,心室中隔(IVS),後壁(PW)運動も低下している。
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