呼と循ゼミナール
大動脈弁閉鎖不全症でみられる異常腱索エコー
小川 聰
1
1慶応義塾大学内科
pp.294-295
発行日 1979年3月15日
Published Date 1979/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203337
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肥大型心筋症でみられる僧帽弁エコーの収縮期前方運動(SAM)は,閉塞性であることと密接な関係があるとされている1)。ところが,SAMのエコー源が何かに関しては,当初考えられていた如き僧帽弁前尖の動きであるという説に対して,腱索あるいは乳頭筋先端部も同時に関与している可能性が,最近のCross-sectional echo— cardiography (CSエコー)による研究の結果明らかにされてきている2,3)。一方,SAMは肥大型心筋症以外にも,大動脈弁閉鎖不全症,僧帽弁逸脱症,心室瘤等で認められることが指摘されており4),これらにおけるSAMの発生機序に関しても不明なことが多い。
図1に示したMモードエコーは,幼時にリウマチ熱の既往をもつ34歳の女性から記録されたもので,僧帽弁狭窄症に典型的な所見を認める。すなわち,肥厚した僧帽弁前尖(AML)および後尖(PML)エコー,拡張期後退速度の低下,後尖の異常前方運動をみる。これらに加えて,矢印で示される如き異常エコーが収縮早期に僧帽弁エコーから離れて前方に動き,収縮末期に後方に戻る所見が記録されている。
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