名著案内
—Victor A. McKusick—Cardiovascular Sound in Health and Disease
中村 芳郎
1
1慶応義塾大学・内科
pp.1100
発行日 1978年11月15日
Published Date 1978/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203277
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- 文献概要
臨床心臓病学における聴診の重要性は今さら云々するまでもない。心疾患の診断の上で聴診器のしめる役割は心電計のそれよりもはるかに大きい。心音図学という意味であれば,心腔内心音の先駆者故山川教授を持ったわが国のレベルは世界に誇れる所もあったに違いないが,ベッドサイドでの聴診とか,臨床心音に関する一般レベルが欧米のそれに比して高かったとは思えない。そのレベルを,この十数年の間に上げてきた原動力となった一つとして挙げねばならないのは,「上田英雄・海渡五郎・坂本二哉:臨床心音図学,南山堂,1963」である。本書は,その内容はもちろんであるが特に心音図記録の美しいことおそらく世界一である点に特徴がある。筆者の知っている範囲でも,B. L. Segalは日本の心音図はどうしてこんなに美しいのだろうと驚いたし,J. Constantは三尖弁閉鎖不全の心音図はDr. Sakamotoからもらわなければ他人に説明できるような心音図は得られない,と言っていた。現在,本書は絶版になっているとのことで入手は困難である。
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