Japanese
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特集 聴覚失認
Auditory Sound Agnosiaはあり得るか
Does Auditory Sound Agnosia Exist?
倉知 正佳
1
,
鈴木 重忠
2
,
能登谷 晶子
2
,
山口 成良
1
Masayoshi Kurachi
1
,
Shigetada Suzuki
2
,
Masako Notoya
2
,
Nariyoshi Yamaguchi
1
1金沢大学医学部神経精神医学教室
2金沢大学医学部耳鼻咽喉科学教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Kanazawa University School of Medicine
2Dept. of Otolaryngol., Kanazawa University School of Medicine
pp.373-380
発行日 1983年4月15日
Published Date 1983/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203568
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I.はじめに
Auditory sound agnosiaとは,聴力がほぼ保たれているにもかかわらず,環境音(社会音),即ち非言語性有意味音の聴覚的認知が障害されている状態である。これに対して,言語音の認知の選択的障害は,auditory verbal agnosiaと呼ばれる。前者は狭義の聴覚失認に,後者は純粋語聾に相当し(Rubens,1979)22),広義の聴覚失認には,環境音,言語音のほか,音楽の認知や聴空間定位の障害も含まれる(田中,1982)26)。この広義の聴覚失認は,かつての精神聾に相当し,これはMunk(1890)により精神盲に対応して提唱された概念であるが,環境音の認知が独立して侵され得るかどうかについては従来疑問視されていた(大橋,1965)17)。
筆者に与えられたのは,auditory sound agnosiaはあり得るかというテーマなので,まず,視覚失認との比較,ついで,環境音の認知が言語音とは独立して侵され得るかどうか,またそれは一側半球の病変でも生じ得るかどうか等について,代表的文献報告を中心に,われわれの最近の検討結果を加えて述べることにしたい。なお,この領域については,筆者自身ごく限られた経験しかないことをお断りしておきたい。
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