書評
—編集 Victor P.Bond, 管原 努—Comparative Cellular and Species Radiosensitivity (英文版)
秋田 康一
1
1東大理学部
pp.97
発行日 1970年1月1日
Published Date 1970/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202664
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本書は1968年5月20日より22日の3日間にわたり,京都において開催された日米科学協力セミナー「Comparative Cellular and SpeciesRadiosensitivity」の講演を集録したものである。このセミナーは京大医学部菅原努教授とブルックヘブン国立研究所副所長V.P. Bond博士の協力により組織されたもので,日本側より12名,米国より10名が参加したほか,オランダよりVon Bek—kum博士,西独からT.M.Fliednerが出席している。
本セミナーの主題は「動物の放射線感受性の比較的研究」であるが,欧米側の講演が主として,哺乳類のspecies間における感受性の相違とその要因解析に関するものであるのに対し,日本側の興味はspecies内での系統や個体間,あるいは,組織,細胞レベルにおける感受性の相違に向けられているようである。このことは本セミナーの,したがつて本書の表題が上述のごとく,そのまま直訳したのでは日本語になりえないものになり,Cellular Kinetics inHematopoietic and GastrointestinalDeathという副題がついてくることからもうかがえる。しかし,それは同時に放射線感受性の問題を多面的角度から考察する場を提供したことになつたわけで,2つのねらいをとにかく1つのセミナーに組織した菅原教授,Bond博士の努力に敬意を表したい。
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