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講座
房室弁輪の動き—その解析と弁閉鎖上の意義について
Analysis of the motion of atrioventricular valve annuli and its effects on valve closure
川副 浩平
1,2
,
北村 信夫
1
,
富野 哲夫
1
,
和田 寿郎
1
Kohei Kawazoe
1,2
,
Nobuo Kitamura
1
,
Tetsuo Tomino
1
,
Juro Wada
1
1東京女子医科大学心臓血圧研究所外科
2国立循環器病センター
1The Heart Institute of Japan, Tokyo Women's Medical College
pp.853-858
発行日 1978年9月15日
Published Date 1978/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203245
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心房収縮および心室収縮に伴う房室弁輪の動きが,完全な弁の閉鎖に重要な役割を果しているであろうことは,ほとんど疑いのない事実として広く受け入れられている。にもかかわらず,現在までに得られている弁輪の動態に関する知見はきわめて限られたものである。開胸直視下に弁輪の動きを直接観察したPadulaら1)とSmithら2),radiopaque markerを縫着して,より生理的な条件下で検索を行ったDavisら3)とTsakirisら4)の報告が散見されるにすぎない。とりわけ不整脈や血行動態の変化が房室弁輪の収縮におよぼす影響を追及したTsakirisらの研究は弁閉鎖における弁輪の動きの意義に実験的基礎を与えるものとして高く評価される。
ただこれらの研究結果には,弁輪の動きの意義が弁輪面積の縮小そのものであるかのように強調されていて,弁尖相互のappositionという面からは弁輪の動きの詳細が未だ十分に解明されているとは言い難い。何故なら各弁尖の特殊な形態を考慮するとき,単なる弁輸面積の縮小ではなく縮小のあり方が大きな意味をもってくるものと考えられるからである。
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