講座
P0.1
大塚 洋久
1
Hirohisa Ohtsuka
1
1北里大学医学部内科
1Dept. of Inter. Med., Kitasato Univ.
pp.729-736
発行日 1978年8月15日
Published Date 1978/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203228
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
肺気腫では,CO2に対する換気反応の低下がみられることは,古くから知られていた1)。健常者でも,粘性抵抗管を通して換気を行なわせると,hypercapniaやhypoxiaなどのchemical stimuliに対する換気反応の低下がみられる2,3)。高圧環境における気体粘性の増大はchemical driveに対する換気反応を低下せしめる4)。肺気腫にみられるCO2に対する換気反応の低下は,単に機械的な抵抗の増大によるとする説5)があり,また,髄液酸塩基平衡の変化による呼吸中枢感受性の低下とする説,両方の関与をみとめる説6)がある。
肺気腫のように呼吸器の機械的抵抗が増加する疾患では,換気量によって呼吸中枢の活動,反応性などを十分評価することはできない。動物実験では呼吸中枢,横隔膜神経などの活動電位を直接測定することが行なわれており,また,人については,呼吸筋のO2消費量,活動電位(筋電図),換気仕事量などによって,呼吸中枢の活動を評価することが行なわれてきた。これらの方法の多くは,測定が難しいこと,精度が低いこと,侵襲が大きいことなどの理由で,臨床レベルでは用いられなかった。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.