Japanese
English
特集 拡散
生体と拡散現象
Diffusion as a gas transport mechanism in the body
太田 保世
1
Yasuyo Ohta
1
1東海大学医学部生理学
1Dept. of Physiology, Tokai Univ.
pp.615-620
発行日 1978年7月15日
Published Date 1978/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203212
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岩波書店の理化学辞典によれば,拡散diffusionとは,異種の粒子の混合系が熱平衡状態に近づく際におこる濃度分布の変化の過程をいう。濃度分布の変化は,構成粒子の熱運動によっており,換言すれば,粒子それ自体のもつ熱力学的エネルギーによる運動によっている。これが呼吸機能の領域では,気体の分子が,その分圧勾配に従って移動し,分圧平衡に達する過程を拡散と定義している。なお,浸透osmosisは,隔膜を通じて行なわれる拡散である。
拡散に関する研究の歴史は,19世紀に溯ることができ,以降脈々と続いてきた古い命題であるが,最近では,気相内拡散の問題のリバイバル,気道内でのconvectionとのcouplingの問題,組織拡散での新しいモデルの取扱い,拡散促進facilitated diffusionの問題,counterdiffusionの概念の登場など,依然として呼吸生理学の分野では"hot stuff"なのである。
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